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花嫁の手紙 ~父親へ~

結婚式の感動ポイントといえば!花嫁が涙ながらに読む手紙を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

残念ながら私には感謝の手紙を書きたくなるような両親はいないので。代わりにここで思いの丈を綴ります。

 

 

父親へ

 

こうして手紙を書くのは初めてですが、普段面と向かって言えないことも手紙なら伝えられると思い筆を執りました。

 

幼少期から学生時代までの家庭で過ごした時間を思い返すと、いつでも私にはあなたの怒鳴り声かイラついた態度、怒り顔が思い浮かびます。恐らく楽しい思い出もあったはずですが、何一つ浮かびません。何かする度に怒られ、何か言う度に怒鳴り返されていました。

私が初めてコロッケを作ったとき「パパも食べるの?」と聞いたら、「食べるにきまってるだろ!」とめちゃくちゃ怒鳴られました。子供の些細な言葉遣いの間違いが許せなかったのでしょうか。理由はいまだによく分かりませんが、初めての手作り料理に弾んでいた心はぶち壊しでした。

中学生の卒業遠足の前日、なんでか分からないけどものすごい怒鳴られました。「なんだその態度は」と言っていたような気がしています。はたから見れば怒り狂うあなたのほうがよっぽど酷い態度ではありますが、家庭内で起きたことなのでやはり力の強い者に従うしかありませんね。楽しみにしていた遠足は泣き腫らした目がひどく不細工で恥ずかしかった。

例をあげたらきりがない程こんなことばかりだったので、だんだんあなたの前で喋れなくなりました。黙れっていればイライラされるだけで済むけど、何か言えば怒鳴り声という暴力が待っていると知っているからです。どうせ嫌われているので、これ以上あなたにどう思われようとどうでもよかったです。

 

あなたから教わったことといえば、「お前は可愛くない。愛想がない。嫌な奴だな。お前は皆に変な子って言われている。そんなんだから嫌われているぞ。」ということでした。あなたがわざわざ「竹田家にも真下家にもお前は変な奴だって言われてるぞ」と教えてくれたので、自分は一体いままでどんな恥ずかしい振る舞いをしていたのだろう、楽しく過ごせていると思っていた時間は嘘だったのか、みんな隠れて私を嘲笑っていたのかと恐ろしくて集まりにも行けなくなりました。顔を出さなくなった私にあなたはさらに「行かないとますます変な子って言われるよ」と追い打ちをかけてくれたこともありましたね。

高校生くらいまではこれらの言葉を信じていましたが、今になってはこんなに酷い言葉を私に言ってきたのは後にも先にも世界中であなただけだったなと分かりました。

 

さて、私は中学生のときには「大学生になったらは絶対に家を出よう」と考えていたのでそれはもう必死に勉強しました。そしてなるべく家から遠い、寮に入れるような大学を推薦で選びました。この目論見はあっけなく否定されましたが。結果的には長い通学時間のおかげで、家にいる時間が短くなったので不幸中の幸いでした。

なるべく家にいなくて済むように、かつ、寂しくないように、休日遊んでくれるお友達をたくさん作りました。良い友達に恵まれたことも不幸中の幸いでした。

そして、この頃にやっと、家庭での私の評価と世間での私の評価がずいぶん違うことに気が付きました。私が心から好きだと思う人たちは、いつだって私自身を否定することはなく、むしろ認めてくれました。思うままに発言ができました。私がどんな態度でいようと怒鳴りつけてくる人もいません。これらは、今となってはいたって普通のことと思えますが、こう思えるようになるまでに何年もかかりました。自分の常識を変えていく作業を何度も繰り返しました。私が人生を楽しいかもしれないと思えるようになったのはごく最近の話です。

 

これを読んだからといって、私はあなたに謝罪されたいわけでもなく、後悔しろとも思っていません。今さら仲を深めようとも思っていません。

ではなぜ手紙を書いたのかといえば、あなたの周りにいる人があまりにも不憫だからです。これからもあなたと暮らすことになる人と犬は、あなたの怒りに振り回され続けるのが目に見えています。一度、自分の怒りと向き合ってください。

ここまで長くなりましたが、私が言いたかったのはこれだけです。「あなたの怒りは、あなた自身で解決してください。」

昨今ではアンガーマネジメントという手法もありますし、カウンセリングに頼るものいいかもしれません。恐らく一人で解決するのは難しいのでプロの力を借りてください。どうか、周りに当たり散らす以外の怒りの発散方法を見つけてください。きっとあなたも楽になります。

 

あなたの家族が今後私と同じような思いをしないことを願っています。